ËBRIを開業して数年。建物という「器」は完成しましたが、そこには大きなミッションが残っていました。「ここでの体験を形にして持ち帰れる『もの』がない」という、お客様からの切実な声です。2020年、その想いに応えるべく「ËBRI STORE」のプロジェクトが動き出しました。
「ËBRIのもの」を形にする、執念のプロダクト作り

ーーËBRISTOREを立ち上げる際、一番大切にしたことは何ですか?
間宮さん:「とにかくお客様から『ËBRIのお土産はないの?』と言われ続けていたんです。当初は自分たちのブランドがどこまで浸透するか不安もありました。でも、ËBRIで過ごした時間やレンガに触れた体験……そのストーリーを形にして持ち帰ってもらわないと、本当の意味で『ËBRIに来た』ことにならないんじゃないか、と。
そこでリニューアルを決意し、ここでしか買えない『エブリの存在価値』を商品に込めることにしました。素材選びからデザインまで、一切妥協しない。それがËBRI STOREの誕生でした。」
「私が作った」から「みんなで誇れるもの」へ。間宮社長の「心の革命」

ーーËBRI STOREの商品は、地元の農家さんや職人さん、さらには江別外の技術とも繋がりが深いですよね。
間宮さん:「そうなんです。かつての私は、設計者として『自分一人の力ですべてを組み上げ、形にしなければならない』という責任感。そして、その完成度を一人で追求することにどこか執着していた部分がありました。若さゆえの、プロとしての気負いだったのかもしれません。
でも、ËBRI STOREを通じて、江別の素晴らしい農家さんや、外の地域から江別を見てくれる技術者の方々と手を取り合う中で、考え方が変わったんです。
例えば、江別にはない素材であっても、江別のストーリーに合わせて『再編集』し、新しい価値として提案する。江別の外にいる人たちが、改めてこの街の魅力を発見し、力を貸してくれる。その多様性を受け入れる寛容さこそが、江別らしい『力強さ』なんじゃないかって。
今は、『スタッフがデザインしたんだよ』『農家さんが大切に育ててくれたんだよ』と、関わった人みんなが自分の成果として喜んでくれる。これって、私の中ではすごい『革命』なんです。」
ーー「自立した個」が手を取り合う、本当の意味での「Everyone」ですね。
間宮さん:「まさにそうです。一人一人が自分の役割を全うし、かつリスペクトし合う。一社で完結させるのではなく、この『エブリワン(みんな)』な循環こそが、今のËBRI STOREの誇りです。」
ギフトは、贈る相手への「ラブレター」

ーー間宮社長は、大の「ギフト好き」だと伺いました。
間宮さん:「大好きです!ギフトって、ラブレターみたいなものだと思うんですよ。渡した時に相手の感情が動く、『わあ、素敵!』と喜んでもらえる。贈る側も『さすが選ぶものが違うね』ってドヤ顔になれる(笑)。
せっかく心を形にして渡すのに、感情が動かなかったら非常にもったいない。だからパッケージにも徹底的にこだわります。『何これ素敵!』と心に響くデザインの力。使い終わっても捨てたくない、取っておきたくなる。そこまでいって初めて、本当の『お土産』になるんだと思っています。」
これからの10年、江別の「誇り」を世界へ
ーー最後に、これからの展望を教えてください。
間宮さん:「江別には、素晴らしい宝物がたくさん眠っています。職人さんの技、農家さんの食材、そしてレンガ。これらをブランディングして、道外や世界にまで届けるツールになりたい。
江別の良さは、ゆったりとしていて、思いやりが溢れている『人間らしさ』。そんな江別の空気を商品に詰め込み、次の世代にも繋いでいきたい。10年後、ËBRI STOREがもっともっと皆さんの暮らしに溶け込み、『江別の自慢』として世界中から人が訪れるような、そんな面白い場所に育てていきたいですね。」

すべてを自分の手で完結させようと、肩肘を張っていた東京時代。その真っ直ぐなこだわりは、江別の地で「自立した個と個が響き合う心地よさ」を知ることで、よりしなやかな強さへと昇華されたようでした。間宮さんはこの場所で、仲間と共に創り上げるという、真の意味での豊かさを見つけたのかもしれません。
かつて誰も近づかなかったボロボロの廃墟。
そこが今、江別を愛する人たちの個性が集まり、一つの「街」のようなお店(ËBRI)として呼吸しています。そんなËBRIのコンセプトストアとして、ËBRI STOREは江別の魅力をただ並べるのではなく、現代の感性で丁寧に再編集し、新しい街の物語として発信しています。
レンガの手触りのようにずっしりと温かく、嘘のない江別の物語。
あなたが誰かに贈るそのラブレター(ギフト)には、この場所の「土」と「人」の力強さが、ぎゅっと詰め込まれています。

Profile
間宮 なつき
東京の美術大学で建築を学ぶ。建築設計事務所にて、商業施設・住宅・店舗などを経験。2014年よりËBRIに携わり、2020年ストアプロジェクト株式会社代表取締役に就任。


